◯注文住宅の坪単価
注文住宅は建売住宅と比べて高いと言われていますが、実際には同じ注文住宅でも価格にはかなりの幅があります。
ローコストなものだと坪単価は30万円台から40万円台。金額もグレードも建売住宅に近いものになります。平均価格は50万円台から60万円台。一般的な注文住宅を建てるならこのあたりが目安です。
坪単価が70万円から80万円はハイクラスの注文住宅。ただ、高級路線になる90万円以上の注文住宅があることを考えると、坪単価70万円は中の上、もしくは上の下といったポジションです。
坪単価70万円ともなれば、平均的な注文住宅にプラスアルファした家づくりが可能になります。
住宅の機能性や安全性に重きを置いた選択をしやすくなるのもこの価格帯から。内装や設備のグレードアップも視野に入ります。
ただ、坪単価が70万円ぐらいとされるハウスメーカーに依頼しても、注意していないとあっという間に予算オーバーしてしまうのもこの価格帯の怖いところです。予算配分を間違えると、ハイクラスの家のつもりが、坪単価50万~60万円台の平均的な家とあまり変わらない出来栄えになってしまうことも。
徹底的に無駄を省くことが目標となる坪単価30万円の家づくりよりも、余裕はあるものの無理をするとすぐに予算オーバーになってしまう坪単価70万円ぐらいの家づくりの方が、難易度は高いかもしれません。
坪単価70万円の家づくりを考える時に候補となるハウスメーカー
- スウェーデンハウス
- ヘーベルハウス
- パナソニックホームズ
- ミサワホーム
- 住友林業
- 大成建設ハウジング
- 三井ホーム
- 三菱地所ホーム
この価格帯になると、知名度の高い大手ハウスメーカーも候補にしやすくなります。
大手を選ぶメリットは知名度と品質だけではありません。数十年後も会社が存続している可能性が高いため、長期間に渡るアフターケアが期待できます。
長年に渡って安心して住める家や、子どもに財産として残す家を求めるなら、大手ハウスメーカーの注文住宅を選ぶのがおすすめです。
◯坪単価70万円で家を建てる時の注意点
坪単価70万円というと、注文住宅の中では高価な価格帯ですが、既に説明した通りバランスをとるのが難しいランクでもあります。
設備や内装、家の構造や機能にこだわりはじめるのに十分な金額である一方、グレードを一段階上げただけで簡単に坪単価80万円台、90万円台に突入してしまいます。
お金をかけたい住宅設備といえば、まずキッチンとバスルームですが、どちらもこだわりはじめれば青天井。標準仕様のものから良いものに変えただけで2、300万円のコストアップは珍しくありません。
最近人気の太陽光発電システムも、発電設備以外に蓄電システムもきちんと揃えるとなると、やはり数百万円の出費になります。長い目でみれば光熱費節約ができるというメリットもありますが、やはり一時的にでも大きなお金が出ていくのは痛手です。
まずは情報収集
注文住宅を建てるなら、価格帯にかかわらずしっかりとした情報収集がかかせません。
特に坪単価が上がってくると、家の構造や安全性、機能など各メーカーの個性が強くなります。技術的は用語や話も多く、素人が流し読みしただけでは分からないものも多いです。
しかし、注文住宅は一生に一度の大きな買い物。購入後は住宅ローンの返済も続きます。適当な買い物によって悔いが残らないよう、ある程度の勉強はかかせません。
見積もりを比較する
候補となるハウスメーカーが絞れたら、必ず相見積もりをとって金額や内容を比較しましょう。
注文住宅はオーダメイドの商品。間取りもデザインも施主によって異なります。適正価格は見積もりを比べてみなければ分かりません。
また、同じような要望を伝えても、それをどう形にするかは設計する人間によって異なります。自分にとってよりよいマイホームをつくりだすためにも比較は必要です。
情報収集は一括請求サービスが便利
たくさんのハウスメーカー・工務店の中から候補を絞る際には、資料やプランの一括請求サービスが便利です。カタログやパンフレットを自宅から簡単に請求できるので、住宅展示場であちこちモデルハウスを回る必要がありません。
一括請求サービスは無料で利用でき、地域や価格帯、住宅のテイストや要望別にハウスメーカー・工務店を検索できます。
◯坪単価70万円の家の間取り
延べ床面積25坪
夫婦2暮らしの家なら十分な広さです。子どもが1人なら2LDKにして、個室を確保することも可能。
ただ、小さな家を建てる時に注意しておいてほしいのが、家は小さければ小さいほどコストパフォーマンスが悪くなるということ。
建物が小さいので総額自体は安くなるのですが、同じ坪単価の広い家と比べると、全体的なグレードは下がります。というのも、家の広さが狭くなるほど、総額に対する設備コスト(キッチンやバスルームなど)の割合が高くなるからです。
つまり、坪単価70万円で25坪の家よりも、45坪の家の方が設備や見た目が豪華になります。
カタログや雑誌などで魅力的な住宅を見つけたとしても、家の大きさが違いすぎると坪単価は参考にはできません。注意しましょう。
ちなみに、坪単価70万円で25坪の住宅と建てたとすると、建物価格は1,750万円になります。
1,750万円を35年ローンで借りた場合、固定金利(1.5%)で月の返済額は53,582円、変動金利(0.7%)で月46,991円になります。
延べ床面積30坪
3LDKに適した広さ。4LDKにすることもできますが、一つひとつの部屋は少し狭くなりますし、収納も不足しやすいです。
建売住宅の多くはこの広さです。夫婦に子ども1~2人なら最低でも延べ床面積30坪は欲しいところ。
坪単価70万円で30坪の住宅と建てた場合の建物価格は2,100万円。
2,100万円を35年ローンで借りた時、固定金利(1.5%)なら月の返済額は64,298円、変動金利(0.7%)で月56,389円になります。
延べ床面積35坪
注文住宅の平均的な広さに近いのがこの35坪。4LDKに十分な収納をプラスできます。ウオークインクローゼットや納戸をつくれば、生活スペースにものがあふれることも少なくなります。
坪単価70万円で35坪の家を建てると、建物価格は2,450万円になります。
2,450万円を35年ローンで借りた場合、固定金利(1.5%)なら月の返済額は75,015円、変動金利(0.7%)で月65,787円になります。
延べ床面積40坪
一軒家としては余裕のあるつくりになります。35坪より5坪増えるということは10畳分も広くなるということ。
趣味の部屋や書斎をつくったり、ペットのためのスペースを確保したりすることもできるようになります。
無理のない二世帯住宅をつくりやすくなるのもこの広さから。
坪単価70万円で40坪の住宅と建てた場合、建物価格は2,800万円。
2,800万円を35年で返済する場合、固定金利(1.5%)なら月85,731円、変動金利(0.7%)なら月75,185円になります。
延べ床面積45坪
45坪あれば、二世帯住宅で各家庭のプライバシーと快適さを確保できます。
25坪の家に比べてコストパフォーマンスの良い家を建てやすいのもポイントで、設備や内装にもこだわりやすいです。
坪単価70万円で45坪の住宅と建てると、建物価格は3,150万円。
3,150万円を35年ローンで借りた場合、固定金利(1.5%)で月の返済額は96,448円、変動金利(0.7%)で月84,584円になります。
家づくりのコストパフォーマンスは良いものの、建物にかかる総額は大きくなるため、借入額も3,000万円を超えます。毎月の負担も重くなるため、よりしっかりとした返済計画が必要です。
◯後悔しない家づくりのためには
間取りや内装、設備などをあれこれ選ぶのは楽しい時間ですが、予算配分に気をつけていないとあっという間に予算オーバーになってしまいます。特に住宅設備はグレードを少し上げただけで数十万円、時には数百万円のコストアップになります。お金をかける場所とそうでない部分のメリハリが重要です。
また、自分にあったハウスメーカー・工務店を見つけるためには、情報収集と比較がかかせません。そしてその過程では、理想の住宅についてきちんと言葉にして伝えることが必要になります。新しい住まいにどんな要望があるのか、どのような生活を望んでいるのか、まずは家族でよく話し合ってください。