◯予算が少なくても注文住宅は建てられる
建売住宅に比べて注文住宅は高価です。
特に大手ハウスメーカーの住宅は坪単価50万円から60万円が最低ライン。何かこだわりを加えようとすれば、簡単に坪単価70万円を超えてしまいます。
自分好みの間取りには憧れるけれど、注文住宅なんて夢の夢、そう諦めてしまっている人も多いです。
しかし、ローコストで注文住宅を建てているハウスメーカー・工務店も存在しています。コストカットに長けた彼らの腕にかかれば、坪単価30万円の注文住宅も夢ではありません。
ただ、坪単価が一般的なハウスメーカーの半分近くと聞くと、かえって不安なもの。
本当にそんな価格で家を建てて大丈夫なのでしょうか? また、安く家を建てたいと考えている場合、どんなところに気をつければよいのでしょうか?
ローコストハウスメーカーに依頼する
安く注文住宅を建てるなら、ローコスト住宅を専門に取り扱っているハウスメーカーや工務店に依頼しましょう。
大手ハウスメーカーでも、間取りを工夫し、グレードを下げ、シンプルな仕様にすれば価格を下げることもできます。大手の安定した品質と、手厚いアフターケアという安心感を最も重視するなら、悪くない選択肢です。
ただ、極限まで無駄を削った効率ばかり追い求めた住宅は味気ないもの。高機能の設備をつけたり、自分好みの要素を入れたりするのも難しくなります。
ローコスト住宅を取り扱っている住宅メーカーには、家を安く効率的に建てるためのノウハウがあります。コストを抑えつつ、自分だけの一軒家を建てるなら、最初から低価格を売りにしているメーカーを選ぶべきです。
例えば間取りの工夫。総二階の住宅よりも平屋が割高だと言われるように、同じ仕様・床面積でも間取りや家の形によって住宅価格は大きく変わります。顧客の要望に応えつつ、どうやってコストカットを図るかが腕の見せ所になります。
建材や設備の仕入れも効率化が行われています。種類を絞り、規格を揃えることで大量入荷。品質を維持しつつ、低価格を実現しています。
選択肢の広さや柔軟性には欠けるため、完全に自由な家づくりは難しくなりますが、コストパフォーマンスは十分です。
ローコストハウスメーカーの例
アイダ設計
アイフルホーム
アエラホーム
アキュラホーム
エースホーム
クレバリーホーム
タマホーム
ユニバーサルホーム
レオハウス
こうした広い地域で展開しているハウスメーカー以外にも、地域限定で展開しているハウスメーカーや工務店にも、質の良いローコスト住宅をあつかっている会社があります。
◯坪単価と住宅価格
安く建てる時に気になるのが坪単価。
坪単価を見比べれば、ハウスメーカーの比較が簡単にできたり、面積と坪単価をかければ簡単に総額がわかったりしそうですが、実際はそう簡単なものではありません。
全く同じ仕様・グレードの住宅でも、家の面積が広いほど坪単価は安く、狭いほど高くなります。
逆に言えば、同じ坪単価でも家の面積が狭ければグレードが低く、広いほどグレードは高くなります。
同じ場所に家を建てるなら、家は広い方が効率的です。キッチンやバスルームなど、一軒に一つ必要になる設備の費用は、家が広ければ広いほど分散されます。
地面に接している面積が同じなら、1階建てでも2階建てでも3階建てでも基礎と屋根の面積は同じ。当然、広い方がコストパフォーマンス的に有利です。
また、坪単価には屋外の工事は含まれていません。庭やカーポートなどの外構工事費はもちろん、給排水工事や電気工事も含まれていません。その他にも、各種手続きにかかる費用だけでも優に100万円は超えます。
予算について考える際には、坪単価から計算できる価格の他に、数百万円以上の費用がプラスして必要になることを覚えておいてください。
坪単価だけでハウスメーカーを判断したり、総費用を予想したりしてしまうのはおすすめしません。あくまでの指標の一つ程度に捉えておきましょう。
◯土地の費用も考える
建売住宅は土地と建物がセットですが、注文住宅の場合は別途土地を調達する必要があります。
建て替えなら旧家屋の解体費だけ考えれば良いのですが、新しく買うとなると土地だけで建物と同じぐらいのお金が必要になります。家の予算や内容を考えると同時に、土地についても考えなければなりません。
土地にお金をかけすぎても、建物にお金をかけすぎてもうまくいきませんが、土地は後から変更が難しいため、どちらかにこだわるなら土地にこだわった方が不満は残りにくいと言われています。
建物に使える予算が少ないなか、満足のできる家を建てるならやはりローコスト住宅は魅力的な存在です。
◯借入額と月々の返済
予算を決める際は、毎月の返済額から決めると安心です。
住宅価格も土地価格も普段の生活ではあまり縁のない大金ですが、月の返済額に換算すればスケール感もつかみやすく、家計における負担も実感しやすいです。
今回は、返済期間35年、固定金利は1.5%、変動金利は0.7%で計算しています。
最近では、スタート時の金利が低い変動金利の人気が伸びています。金利が上がるリスクはありますが、返済開始直後の負担が少ないのは魅力です。毎月の返済額が少なければ繰り上げ返済もしやすくなるため、結果的に節約に繋がります。
借入額750万円
固定金利の場合:月22,963円返済
変動金利の場合:月20,139円返済
諸費用を貯金でまかない、借入額の750万円を全て住宅に当てるなら、坪単価30万円で25坪の家が建てられます。大きな家ではありませんが夫婦2人の家なら十分な広さです。夫婦に子ども1人の3人暮らしも無理ではない広さです。
ただ、家が狭い分、どうしても設備やグレードからすると割高になるのは否めません。そのかわり月の返済負担は小さいので、住まいよりも趣味や旅行、外出などにお金を使いやすいです。
借入額900万円
固定金利の場合:月27,556円返済
変動金利の場合:月24,166円返済
坪単価30万円で30坪の家を建てた場合、建物価格は900万円になります。
30坪というと、ちょうど建売の一軒家がこのぐらいの大きさです。夫婦に子ども1、2人が生活するのに十分な広さがあります。4LDKでも無理はありませんが、一部屋が小さくなってしまうため、快適性を求めるなら3LDKがおすすめ。
借入額1,050万円
固定金利の場合:月32,149円返済
変動金利の場合:月28,194円返済
1,050万円で坪単価30万円の家を建てると、広さは35坪。
注文住宅の標準的な広さはだいたいこの延べ床面積35坪。30坪よりも間取りに余裕があり、3LDK+和室1部屋というオーソドックスな間取りも実現しやすいです。部屋を広くするだけでなく、十分な収納も確保しやすくなります。
借入額1200万円
固定金利の場合:月36,742円返済
変動金利の場合:月32,222円返済
坪単価30万円で建物予算1200万円の場合、広さは40坪。
これだけの広さがあれば二世帯住宅も視野に入ります。
借入額1,350万円
固定金利の場合:月41,334円返済
変動金利の場合:月36,250円返済
延べ床面積が45坪の家でも、坪単価が30万円なら1,350万円です。
間取りに余裕があるのはもちろん、広い家になれば同じ坪単価でも建築効率は良くなります。900万円で25坪の家を建てるよりも、設備もグレードも良いものにしやすいです。
◯どこに依頼するかで住宅価格は決まる
注文住宅を安く建てるためには、どこに建築を依頼するかということが非常に重要です。
ローコスト住宅を専門に取り扱うメーカーには、無駄なく家を建てるためのノウハウがあります。価格の安い家というと品質を不安に思う人も多いのですが、ローコスト住宅のコストカットは徹底的な効率化によるものです。選択肢の幅広さや、柔軟性には欠ける部分があるものの、低価格ながら高品質で高機能な家が建てられます。
そして、安く家を建てるためにもう一つ大切なのが、きちんと資金計画を建てること。特に注文住宅は、建売住宅と違い、土地の確保も考えなければなりません。土地と建物、どちらにどれだけお金をかけるのか、毎月の返済額はいくらになるのか、そこから考えられる総予算はどれぐらいになるのかをよく考え、無理のない返済計画をたてていきましょう。