憧れのマイホーム。
いつかは自分たちの家を手に入れたいと、チラシやカタログを見て夢を膨らませている人も多いのではないでしょうか。
特に、自分好みの家を建てられる注文住宅は皆の憧れです。
しかし、憧れだけでは家を建てられません。
一般的に、注文住宅を建てるためにはどのぐらいのお金がかかっているのでしょうか? また、予算や住宅ローンについてはどのように計画していけば良いのでしょうか?
注文住宅の費用と相場
注文住宅の場合、土地を持っているかどうかで事情が大きく変わってきます。
建売住宅や中古住宅ならば土地もセットで買えますし、マンションの場合も建物がある土地について気にすることはまずありません。
しかし、注文住宅の場合、ハウスメーカーや工務店が売るのは土地だけです。
土地がない場合、土地探しや予算配分については自分で考えなくてはなりません。
土地と建物を購入する場合
家を建てるための土地から買わなければならない場合、土地と建物のそれぞれにどれだけ予算を配分するかが大きな問題になります。
利便性や立地、周辺環境にこだわるなら土地にお金をかけることになります。
反対に、設備の充実や内装、デザインにこだわるなら建物に予算を割くことになります。
一般的に、土地と建物どちらかにこだわるのなら、土地の方を重要視するべきだと言われています。
建物の不満はお金をかければ後から修正が可能です。
一方、土地は一度購入してしまうと変更は困難です。
とはいえ、土地にお金をかけすぎて建物を建てる予算が足りなくなってしまったり、建物を妥協しすぎて掘っ立て小屋になったりしてしまうのも悲しいもの。
何を重視するとしても、予算のバランスはよく考えなくてはなりません。
・土地+建物価格の相場
2017年住宅金融支援機構の調査によると、土地+建物の平均価格は3,955万円。
土地の取得費が高くなりやすい都市部については、首都圏で平均4,652万円、近畿圏が4,077万円、東海圏が4,122万円となっています。
地域による差はあるものの、土地を買った上で注文住宅を建てるとなると平均でも4,000万円ほど必要になっているということがわかります。
地域や広さにもよりますが、土地の取得には建物と同じ、もしくはそれ以上の費用がかかります。建物のみ購入する場合と比べて倍以上のお金がかかることも。
建物のみ購入する場合
相続や建て替えなどで土地を所有している場合、予算配分はずっと楽になります。
注文住宅の場合、建物以外にかかる諸費用は総費用の1割から2割。
建て替えの場合は解体費用として数百万円必要になりますが、それでも予算の7割から8割は建物に使うことができます。
高価な設備の導入を検討したり、内装のグレードを上げたり、デザインにこだわったりということもしやすくなります。
・建物価格の相場
同じく2017年の住宅金融支援機構のデータを確認してみると、土地取得費がない人の平均費用は全国で3,320万円。
人件費などが高額になる都市部の場合、首都圏の平均は3,615万円、近畿圏で3452万円、東海圏で3,414万円となっています。
土地購入の必要がある場合に比べて1,000万円ほど相場が安くなっています。
下がり幅が土地代に比べて少ないように感じますが、土地購入の必要がなく予算に余裕があるぶん、建物にお金をかける人が多くなっていることが考えられます。
出典:注文住宅相場
予算の決め方
注文住宅では、土地を持っているかどうかで予算の使い方が大きく変わります。では、肝心の予算はどうやって決めればいいのでしょうか?
理想の家を想像するのは楽しいですが、実際に建てるとなると常に予算との兼ね合いになります。
予算の立て方を間違ってしまうと、住宅ローンの返済に苦しんだり、家に不満が残る結果になってしまったりします。
●貯金
ローンだけで家を建てることもできますが、ある程度は自己資金があった方が安心です。
理想としては、総予算の2~3割を貯金でカバーできること。住宅ローンの金利が自己資金の割合で変わることを考えると、最低でも1割以上は自己資金が欲しいです。
自己資金の割合が低いと借入額が増え、返済の負担もリスクも多くなります。しかし、貯金のすべてを頭金にしてしまうのも危険です。いざという時に自由に使えるお金をいくらか残しておくようにしましょう。
他にも親からの援助がある場合は、自己資金に含めて考えます。
●住宅ローンの借入額
住宅ローンの審査では、年収倍率が一つの基準になっています。
年収倍率とは、年収に対しての住宅購入額がいくらになっているかというもので、建物のみの場合は6.3、土地も購入する場合は7.1が全国平均です。一般的に年収倍率は5倍までが目安といわれているのですが、実際にはこれよりも大きなローンを組む人が増えています。
理由としては、住宅ローンの金利が低くなっていること、住宅購入時に親から援助を受ける場合の贈与税について非課税の特例が設けられていることなどの影響が考えられます。
返済負担率からローンの借入額を考えることもあります。
こちらは、年収のうちローンの返済が何割を占めるかというものです。
基準としては年収の30%から35%が目安です。住宅ローンの審査でも、返済負担率は重視される項目です。
ただ、年収倍率や返済負担率から単純計算で予算を決めてしまうのは危険です。
毎月の生活費は人によって違いますし、年収基準だと単位が大きくなってしまうため具体的にシミュレーションしにくくなります。
ローンの返済は毎月行うものになりますから、「月にいくら払うか」を考えることも大切です。
家賃と同じか、それよりも少ない金額を想定して計算してみると良いでしょう。
ライフプランをマイホーム購入
返済計画とライフプラン
住宅ローンの借入額を考える際に大切になるのが、ライフプランです。
ローンの返済は長いケースで35年続きます。
これから20年30年生きていくなかで、どんなイベントがあり、どんな出費があるかあらかじめ考えておかなければ、住宅ローンの返済が難しくなってしまう時が来るかもしれません。
特に子どもの教育費は考えておくべきポイントです。
子どもの人数はもちろん、大学に進学させたいかどうか、公立に入れるか私立に入れるかも家計を大きく左右します。
教育費のような大きな出費以外にも、車の買い替えや旅行、レジャーに使いたいお金や頻度なども家族で話し合っておきましょう。
家を買う年齢とライフプラン
いつ家を買うべきかという問題も、ライフプランと大きく関わってきます。
年金生活でローンの返済をするのは大変です。
定年までに完済を目指した計画を立てるのが普通です。
65歳を定年とすると、35年のローンを組むには30歳で家を買う必要があります。
40歳になってから家を買う場合、組めるローンは長くても25年になります。
返済期間を長くすれば毎月の返済負担を軽減できますが、そのためには若いうちに家を買わなくてはなりません。しかし、今度は貯金を十分に用意するのが難しくなります。
返済期間と貯金のバランスを考えると、30~40歳のうちにローンを組むのが無難だということになります。
住宅金融支援機構のデータでも、土地付き注文住宅購入者の半数以上が30代です。
自分にあった資金計画を
注文住宅の相場は土地の有無や地域によって異なります。
建物の内容やグレードも予算によって差があるため、平均に合わせて家を建てたからといって、必ずしもうまくいくとは限りません。
失敗しない家づくりのためには、家を建てた後の生活やマネープランについて考えてみることが大切です。
頭金をいくら用意できるのか、毎月返済できる金額はいくらか、今後の人生でいつどんな費用が発生するかなどを家族で話し合い、無理のない資金計画をつくっていきましょう。